精選版 日本国語大辞典 「とろとろ」の意味・読み・例文・類語
とろ‐とろ
[1] 〘副〙 (「と」を伴って用いることもある)
※名語記(1275)四「答、よとは淀也。水のよどみてながれもやらぬ義也、とろとろともいへり」
※仮名草子・可笑記(1642)三「けいせいといへるものは〈略〉あぶらとろとろかねくろく」
② 粘液状のものがたれ落ちたり流れたりするさまを表わす語。たらたら。
※源平盛衰記(14C前)一七「よだれとろとろ垂らして」
③ 弱く、ゆるやかなさまを表わす語。主として、火の勢いが弱く、静かに燃えるさまを表わすことが多い。〔書言字考節用集(1717)〕
※自然と人生(1900)〈徳富蘆花〉湘南雑筆「各処の火はとろとろと燃へて」
④ 動作が緩慢で、ゆったりしたさまを表わす語。
※宇治拾遺(1221頃)一五「ひきかためて、とろとろとはなちて、弓倒して見やれば」
⑤ ねむけを催してぼんやりしたさま、また、浅くまどろむさまを表わす語。
※名語記(1275)三「春のそらに、さくらとれといへる、とれ如何。とれは、目のとろとろとあるをいへり」
※虎明本狂言・花子(室町末‐近世初)「とろとろとまどろふたれは」
⑥ うっとりするさまを表わす語。
※浄瑠璃・平家女護島(1719)一「とろとろ見とれおはします」
[2] 〘形動〙 (一)①に同じ。
※二人女房(1891‐92)〈尾崎紅葉〉中「和合剤の脂が、始は水のごとく、後にはとろとろになるほど多量に分泌されると」
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