どれい狩り(読み)どれいがり

改訂新版 世界大百科事典 「どれい狩り」の意味・わかりやすい解説

どれい狩り (どれいがり)

安部公房(1924-93)の戯曲。《文芸》1954年12月号,55年3月号にまず小説として発表(題名は《奴隷狩》)。55年6月に戯曲として公演,戯曲集《どれい狩り・快速船・制服》に収録。人間にそっくりで人間とはちがう珍獣ウエーをめぐって事件が展開する。この動物の利用価値が明らかになると,人々は争ってウエーを求め,やがて政治家がウエーの飼育事業を行うようになる。人間の労働が奴隷の利用価値に等しいものになっていることを暗示した政治風刺劇で,67年に改訂・再上演された。さらに改作した《ウエー・新どれい狩り》(1975)もある。安部公房の最初の戯曲で,この実験劇の延長上に多彩な劇作品が開花した。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

デジタル大辞泉プラス 「どれい狩り」の解説

どれい狩り

安部公房による戯曲。1955年、劇団俳優座により初演同年、第1回新劇戯曲賞(のちの岸田国士戯曲賞)の候補作品となる。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

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