どんつく(読み)ドンツク

デジタル大辞泉 「どんつく」の意味・読み・例文・類語

どん‐つく

[名]うちわ太鼓の音から》日蓮宗。また、その信徒
[副]太鼓の音、特に、日蓮宗で使ううちわ太鼓の音を表す語。
[類語]てれつくでんでんてんつくてんすってんてれつく

どんつく[歌舞伎舞踊]

歌舞伎舞踊常磐津ときわず本名題神楽諷雲井曲毬かぐらうたくもいのきょくまり」。3世桜田治助作詞、5世岸沢式佐作曲。弘化3年(1846)江戸市村座初演太神楽風俗舞踊化したもの。「どんつく」とよばれる田舎者下男が主にこっけいな踊りを見せる。

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精選版 日本国語大辞典 「どんつく」の意味・読み・例文・類語

どん‐つく

[1] 〘名〙 (うちわ太鼓の音から転じて)
① 日蓮宗、また、その信者をいう。
② 太鼓をたたくこと。また、その役。
食後の唄(1919)〈木下杢太郎自序松屋のどんつく、小登良の鎗さび」
[2] 〘副〙 太鼓の鳴る音、特に、うちわ太鼓の鳴る音を表わす語。
咄本・軽口東方朔(1762)夜番聞違「夜番人ぜひなく、太鼓をどんつくどんつくと打て」

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改訂新版 世界大百科事典 「どんつく」の意味・わかりやすい解説

どんつく

歌舞伎舞踊の曲名常磐津。本名題《神楽諷雲井曲毬(かぐらうたくもいのきょくまり)》。1846年(弘化3)1月,江戸市村座で4世中村歌右衛門,12世市村羽左衛門ほかにより初演。作詞3世桜田治助。作曲5世岸沢式佐。振付西川巳之助。太神楽(だいかぐら)の太夫と,間抜け者〈どんつく〉の籠毬(かごまり)の曲芸特色で,どんつくの田舎節の踊りやおかめの面の踊り,赤手ぬぐいをかぶった太夫の踊りなどのほか,白酒屋の言立て,芸者のくどき,総踊りなどがあるにぎやかな作品。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「どんつく」の意味・わかりやすい解説

どんつく

歌舞伎(かぶき)舞踊。常磐津(ときわず)。本名題(なだい)『神楽諷雲井曲毬(かぐらうたくもいのきょくまり)』。3世桜田治助(じすけ)作詞。5世岸沢式佐(しきさ)作曲。西川巳之助(みのすけ)振付け。1846年(弘化3)1月江戸・市村座で、4世中村歌右衛門(うたえもん)のどんつく、12世市村羽左衛門の太神楽(だいかぐら)の親方などにより初演。初春を祝福する雑芸(ぞうげい)太神楽の風俗を描いた作だが、「どんつく」とよばれる田舎(いなか)者の下男が主役で、親方、笛吹きの男のほか、年礼の旦那(だんな)、芸者、白酒売りなど、いろいろな人物が登場する。親方の籠毬(かごまり)の振(ふり)から、芸者と旦那の振、そこへどんつくがおかめの面をかぶって割り込み、鈴の踊り、親方との黒赤尽くしの踊りなどがあって、総踊りで終わる。初演は上の巻「鵺(ぬえ)退治」から引き抜く趣向だった。

[松井俊諭]

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「どんつく」の解説

どんつく
(通称)
どんつく

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
元の外題
神楽諷雲井曲毬
初演
弘化3.1(江戸・市村座)

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