なかった

精選版 日本国語大辞典 「なかった」の意味・読み・例文・類語

なかっ‐・た

連語
[1] 形容詞「ない」の連用形「なかっ」に完了の助動詞「た」の付いたもの。否定のための補助的な用法もある。
史記抄(1477)一四「またさのみくわしうなかったぞ」
※天草本伊曾保(1593)イソポの生涯の事「アシヲ フミイリョウズル トコロモ nacatta(ナカッタ)ニヨッテ」
[2] 打消の助動詞「ない」の連用形に完了の助動詞「た」の付いたもの。
人情本・仮名文章娘節用(1831‐34)後「おれが来なかったから、うるさくなくってよかったらう」
[語誌](二)は、江戸語で天保(一八三〇‐四四)前後から用いられるようになった。それ以前は京坂地方と同様「なんだ」であったのが、形容詞の活用に歩調を合わせたもの。初めは旗本御家人など比較的上流階級に多く用いられ、東京語になって、次第に「なんだ」を圧倒した。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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