ななり

精選版 日本国語大辞典 「ななり」の意味・読み・例文・類語

な‐・なり

(断定助動詞「なり」の終止形に伝聞推定の助動詞「なり」が付いて撥音便化した「なんなり」の、撥音「ん」を表記しない形) 主として他人のことばから推定する意を表わす。…だというわけらしい。…だということのようだ。…であるらしい。…というのだな。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「さればこそ。天狗ななり」
[補注]伝聞推定の助動詞「なり」が一般に終止形を受け、かつ上代に「ありなり」の例があるので、「な」を終止形の変化とみるが、一方、終止形を受ける「べし」が「なり」などラ変活用を受けるときは「なるべし」など連体形を受けることから類推して、連体形の変化とみる考え方もある。ただし、古く「なりなり」または「なるなり」と前の「なり」の語尾を明記した例は見あたらない。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「ななり」の意味・読み・例文・類語

な◦なり

[連語]《断定の助動詞「なり」の連体形「なる」に伝聞推定の助動詞「なり」の付いた「なるなり」の音変化「なんなり」の撥音の無表記》…であるようだ。…であるということだ。
「人づてに承りし事の筋―◦なり」〈宿木

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