なは・る
〘他ラ四〙 (「なさる」の変化した語)
※
洒落本・浪花色八卦(1757)桐薹卦「南でするやうな事なはると中居が興をさます」
[二]
補助動詞として用いる。動詞の
連用形や「御
(お・ご)」を冠した語を受ける。…なさる。お…なさる。
※洒落本・月花余情(1746)燕喜篇「サアタアおいなはるとよいわいな。たいていおまへを恋しがりなはった事じゃない」
[語誌](1)
江戸時代、
延享(
一七四四‐四八)頃から
上方の
遊里の
ことばとして見えはじめる。
後期には江戸の遊里でも用い、
一般の
町家にも広がった。男性が用いた例もある。
(2)江戸語では、「ます」が付くとき、「なはります」「なはいます」の二形があり、これらはさらに「なはりやす」「なはいやす」「なはいす」などに変化した。
(3)
未然形の
語尾「ら」は「ない」の前で、
終止形の語尾「る」は「な」の前で「ん」になることがある。
(4)
命令形には「なはれ」「なはい」の二形がある。なお、「なはえ」「なへえ」となったものもある。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「なはる」の意味・読み・例文・類語
なは・る
[動ラ五(四)]《「なさる」の音変化》
1 「する」の尊敬語。なさる。江戸中期以降、上方のちに江戸の遊里で用いられ、やがて一般の町家にも広まった。
「南でするやうな事―・ると中居が興をさます」〈洒・浪花色八卦〉
2 (動詞の連用形や「お」「ご」を冠した語を受け、補助動詞として関西方面で用いる)…なさる。「さあ飲み―・れ」「御覧―・れ」
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例