びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫を中心とする急速進行型非Hodgkinリンパ腫

内科学 第10版 の解説

びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫を中心とする急速進行型非Hodgkinリンパ腫(造血幹細胞移植の適応の考え方)

(6)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を中心とする急速進行型非Hodgkinリンパ腫
a.予後予測因子
 びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を中心とする急速進行型非Hodgkinリンパ腫(aggressive NHL)の予後予測モデルとして最も広く用いられているのはinternational prognostic indexIPI)である.
b.第一寛解期の造血幹細胞移植の適応
 何らかの第一寛解期のaggressive NHL患者を寛解導入後に自家移植を行う群と行わない群に無作為に割り付けた臨床試験のメタ解析の結果からはaggressive NHLに対する第一寛解期の自家移植の有用性は明確になっていない(Olianskyら,2011).リツキシマブの併用によりDLBCLに対する化学療法の成績は向上しており,リツキシマブ導入後の第一寛解期での自家移植の適応については現在行われている臨床試験の結果を待つ必要があるが,現時点では日常診療として第一寛解期の造血幹細胞移植は推奨されない.
c.化学療法感受性再発に対する自家移植の適応
 再発aggressive NHLに対して救援化学療法を2コース行い,治療効果が得られた群を自家骨髄移植施行群と,化学療法追加群に無作為に割り付ける臨床試験が行われた.5年無病生存率,全生存率ともに自家移植群が有意にすぐれていることが示された.この結果からDLBCLを含むaggressive NHLの化学療法感受性再発に対しては,自家造血幹細胞移植が標準治療として行われるようになった(ただし,リツキシマブ導入後の臨床試験の結果はない)(図14-8-9).
d.同種移植の適応
 aggressive NHLに対する同種移植では移植関連死亡(TRM)の多発が問題となった.そこで移植前処置の軽度を軽減したミニ移植によってTRMを減少させる試みが行われている.大規模な臨床試験はないが,自家移植後再発例で良好な成績が示されている.[神田善伸]
■文献
Koreth J, Schlenk R, et al: Allogeneic stem cell transplantation for acute myeloid leukemia in first complete remission: systematic review and meta-analysis of prospective clinical trials. JAMA, 301: 2349-2361, 2009.
Cutler CS, Lee SJ, et al: A decision analysis of allogeneic bone marrow transplantation for the myelodysplastic syndromes: delayed transplantation for low-risk myelodysplasia is associated with improved outcome. Blood, 104: 579-585, 2004.
Oliansky DM, Czuczman M, et al: The role of cytotoxic therapy with hematopoietic stem cell transplantation in the treatment of diffuse large B cell lymphoma: update of the 2001 evidence-based review. Biol Blood Marrow Transplant, 17: 20-47 e30, 2011.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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