ふたふた

精選版 日本国語大辞典 「ふたふた」の意味・読み・例文・類語

ふた‐ふた

〘副〙 (多く「と」を伴って用いる)
① 扇や鳥の翼などが触れ合ってたてる音、また、そのさまを表わす語。ばたばた。
※枕(10C終)六三「扇ふたふたとつかひ」
② 激しくあばれるさまを表わす語。ばたばた。
今昔(1120頃か)一九「(きじ)を生乍ら〈略〉揃(むし)らするに、暫くはふたふたと為るを」
③ 血などの続けてしたたり落ちるさまを表わす語。ぼたぼた。
愚管抄(1220)四「よりましがふところよりくろ血をふたふたととりいだしたりければ」
④ 足もとのおぼつかないさまを表わす語。ふらふら。
※今昔(1120頃か)二六「年は老たる者の、〈略〉立上けるが、ふたふたとしければ」
⑤ 急いで移動するさま、あわてふためくさまを表わす語。
御伽草子・唐崎物語(未刊国文資料所収)(室町末)「姫の御そばへふたふたといらせ給へば」
⑥ 胸がどきどきするさまを表わす語。
※婉という女(1960)〈大原富枝〉四「わたくしはふたふたと心が騒ぎ、蒼ざめていた」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「ふたふた」の意味・読み・例文・類語

ふた‐ふた

[副]
扇を動かしたり鳥が羽ばたいたりしたときに立てる音や、そのさまを表す語。ばたばた。
「扇―とつかひ」〈・六三〉
血などが続けてしたたり落ちるさま。ぼたぼた。
「よりましが懐より黒血を―ととり出だしたりければ」〈愚管抄・四〉
足がもつれるさま。ふらふら。
「立ち上がりけるが、―としければ」〈今昔・二六・五〉
あわただしく急ぐさま。あたふた。
「塗りかけし重箱の―として走り来り」〈浮・禁短気・三〉

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