ほろほろ

精選版 日本国語大辞典 「ほろほろ」の意味・読み・例文・類語

ほろ‐ほろ

〘副〙 (多く「と」を伴って用いる)
① 葉や花などが散ったり落ちたりするさまを表わす語。
※枕(10C終)一九九「きなる葉どものほろほろとこぼれおつる」
② 涙や水滴などがこぼれ落ちるさまを表わす語。また、激しく泣くさまを表わす語。
蜻蛉(974頃)上「又ほろほろとうち泣きていでぬ」
③ 集まっていた人々が分かれ散るさまを表わす語。
源氏(1001‐14頃)若菜下「さるべき限りこそまかでね、ほろほろと騒ぐを」
④ 物が裂け破れるさま、こなごなになるさまを表わす語。ぼろぼろ。
※源氏(1001‐14頃)宿木「栗やなどやうの物にや、ほろほろと食ふも」
雉子(きじ)山鳥などの鳴く声を表わす語。ほろろ
※源賢集(1020頃)「御狩野に朝たつきじのほろほろと鳴きつつぞふる身を恨みつつ」
⑥ 砧(きぬた)を打つ音を表わす語。
※歌謡・閑吟集(1518)「衣々の、砧の音が、枕にほろほろほろほろとか、それをしたふは、涙よなふ」

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デジタル大辞泉 「ほろほろ」の意味・読み・例文・類語

ほろ‐ほろ

[副]
葉や花、涙などが静かにこぼれ落ちるさま。はらはら。「山吹花びらほろほろと散る」「ほろほろ(と)涙を流す」
山鳥などの鳴く声を表す語。「山鳥がほろほろ(と)鳴く」
力を入れなくても、ばらばらになるさま。「口の中でほろほろ(と)崩れる」
大勢の人が出て行くさま。
修法ずほふの壇こぼちて―と出づるに」〈夕霧
物が裂け破れるさま。
ほころびは―と絶えぬ」〈紅葉賀
歯でかんで食べる音を表す語。
「栗などやうのものにや、―と食ふも」〈・宿木〉
[類語](1ぽろぽろぽたぽたぽとぽとたらたらぼろぼろぼたぼたぼとぼとだらだらはらはらぽつぽつぱらぱらばらばらぽろりほたほたぽつりぽつりぽつりぽつんはらりぱらりほろりぽたりどくどくたらりちょろちょろちょろりとくとくしたたりだくだくぽとり滴る滴り落ちる垂らす垂れるこぼれるほとばしるあふれる/(2かあかあがちゃがちゃかりかりきゃっきゃっくつくつぼうしけいけいけろけろけんけんこんこんこんこけこっこうかなかなごろにゃんじいじいじいちちよちちよちちろちゅうちゅうちゅうちりちりちんちろりんつくつくぼうしつづりさせてっぺんかけたか東天紅トッケイにしはつにゃあにゃあにゃんにゃんぴいちくぱあちくぴいぴいひとくひよひよぴよぴよぶっぽうそうほうほけきょほぞんかけたかぽっぽほろほろろめえめえもうもうりんりんわんわんわん

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ほろほろ」の意味・わかりやすい解説

ほろほろ

ウコギ新芽を用いた岩手地方郷土料理。この地方にはウコギの生け垣を巡らした家が多い。新芽が食用になるため、この垣根救荒作物役割をしたといわれる。ほろほろは、ウコギの新芽をゆでて水にさらし(苦味(にがみ)があるので)、細かく刻んで、みそ漬け大根とクルミも細かく刻み、混ぜ合わせる。赤唐辛子のみじん切りと炒(い)りごまを加えて味をととのえ、熱いご飯にかけて食べる。昔、南部藩武士がこれを食べようとして、ほろほろこぼしたことから、この名がついたという。

[堤 方子]

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