みなみじゅうじ(南十字)座(読み)みなみじゅうじざ

改訂新版 世界大百科事典 の解説

みなみじゅうじ(南十字)座 (みなみじゅうじざ)
Crux

略号Cru南天天の川沿いにある南十字星Southern Crossを主体とした星座。プトレマイオス時代はまだケンタウルス座の一部に属し,1592年にイギリスのモリノーEmerie Mollineuxの天球儀に初めて南十字星が描かれ,ロアイエAugstin Royerの星図(1627)で正式に星座として分離された。南端のα星(1.6等と2.1等の二重星,合成等級0.8等)から左まわりにβ星(1.3等),γ星(1.6等と6.4等の二重星),δ星(2.8等)とB型の輝星が十字形を描き,δ星,α星の間にε星(3.6等,K3型)が1点を投じ十字の輪郭をひきしめる。γ星からα星のほぼ延長上に天の南極があり航海目印とされた。α星アクルックス(十字のアルファ)は角距離4″4の二重星で,主星Aは周期75.769日,伴星Bは周期56日のともに分光連星である。十字星の南東に天の川が大きく丸くぽっかりと黒く沈んで見え,コールサックcoalsuck(石炭袋)と呼ばれる。これは銀河面に分布する星間物質による光の吸収で見える暗黒星雲である。日本本州では見ることはできない。概略位置は赤経12h20m,赤緯-60°。午後8時の南中は5月下旬である。
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百科事典マイペディア の解説

みなみじゅうじ(南十字)座【みなみじゅうじざ】

南半球の星座。α,β,γ,δの4星が見事な十字形をえがくので有名。天の川の中にある。γ星からα星のほぼ延長上に天の南極があり,航海時の目印にされた。暗黒星雲コールサックを含む。日本からは見えない。

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