むれ苗(読み)むれなえ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「むれ苗」の意味・わかりやすい解説

むれ苗
むれなえ

むれ苗症状ともいい、水稲の育苗期に発生する主要な病気。発芽後2~10日ころ、あるいは20日前後にかかりやすく、異常な低温(ほぼ4℃以下が数時間以上継続)にあったのち、次の日に晴天高温となり、蒸散が盛んになると、葉が急に巻き、蒸れてよれたようになる。給水しても葉は広がらず、やがて地上部は枯れるが、それ以前に根が腐り、容易に引き抜けるようになる。普通、むれ苗は、それが進行すると苗立枯病となるが、軽症の場合はやがて回復することもあるので、苗立枯病と区別して扱われている。苗床中の土壌菌のフザリウムFusarium spp.やピシウムPithium spp.が生理的に弱った苗に侵入するためにおこるといわれる。育苗期間に雪・霜など異常低温にあいやすい東北・北海道地方や全国の山間地で被害が多く、とくに多肥・水分過多条件で発生しやすい。土壌pH5の場合に発生が少なく、また防除薬としては、タチガレン剤を床土に混入して土壌消毒を行い、また根の健全な成長を促す。

[星川清親]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android