雇女(読み)やとな

改訂新版 世界大百科事典 「雇女」の意味・わかりやすい解説

雇女/雇仲居 (やとな)

阪神地方を中心に西日本に特有の仲居(なかい)の一種配膳から跡片づけまで手伝い,酒間をとりもち三味線をひき歌をうたい踊りをおどって興を助けるなど,仲居と芸者の両役を兼ねながら花代(はなだい)は芸者よりも安い。江戸時代にも繁忙期に臨時雇いの仲居はいたが,職業的な〈やとな〉の出現は明治末期である。芸者に居住地制限を加えたため,これを逃れようと酌人の登録を受けたものが,さらに転身した結果という。神戸市は1917年に雇仲居税を新設した。〈やとな〉は所属組合の紹介により,料理屋貸席,または一般家庭(宴会婚礼などのとき)へ派出された。以前は,芸者出身者が多かった。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「雇女」の意味・わかりやすい解説

雇女
やとな

雇仲居とも書く。京阪神地方のおもに花柳界に発達した一時雇いの仲居のこと。原義はやといおんな。席主や客が待合や料理屋に呼び酒席のとりもちなど仲居,芸者の役を臨時にさせた。第1次世界大戦後の最盛期の雇女は芸者より安い花代で,芸者と同じようにふるまい,芸者出身の者も多かった。

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