やる
〘助動〙 (「ある」の変化した語。活用は「やら・やり(やっ)・やる・やる・やれ・やれ(や)」) 活用語の連用形、また、その上に「お」を付けた形に付く。初めは
敬語であったが、
近世語としては、同等またはそれに近い目下のものの動作について、
丁寧に、また
親愛の
気持で用いる。…なさる。
※天草本伊曾保(1593)二人同道して行く事「ナゼニ ソナタワ チカラヲ vosoyeyaranu(ヲソエヤラヌ) ゾト イエバ」
※
滑稽本・浮世風呂(1809‐13)二「ハイ、ありがたう。コレ、御あいさつ申しやれ、此子はや」
[語誌](1)
上方語では、二音節以上の
動詞に付くとき、「行きゃんな」のように動詞の
語尾と融合して
拗音となることがある。また、上方語では各活用形が自由に用いられているが、江戸語では、
命令形・
終止形に
用法が限られる傾向がある。命令形「やれ」は、往々「や」の形に略される。→
や。
(2)上方語で、終止形が禁止の
助詞「な」に連なる時、「やんな」ともなる。また、「やんな」は「やな」となることがある。
(3)
幕末から明治にかけての上方の女性語では、「か」「じゃ」に続く時、「やんか」「やんじゃ」となる。これらは拗音にならない。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「やる」の意味・読み・例文・類語
やる[助動]
[助動][やら|やり・やっ|やる|やる|やれ|やれ(や・やい)]《動詞「あり」の連体形「ある」の音変化》動詞の連用形に付く。
1 軽い尊敬、または親愛の意を表す。…なさる。
「それにお待ちやれ」〈虎明狂・末広がり〉
2 (「やります」の形で)丁寧の意を表す。
「この子が寒い寒いというて泣きやります」〈伎・暁の鐘〉
[補説]室町時代以降に用いられ、近世では終止形と命令形が多い。1は上接の動詞の上に「お」「ご」を付けることもある。2は近世語。
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