朝日日本歴史人物事典 「よしや」の解説
よしや
近世琉球の伝説的な女性琉歌人。平敷屋朝敏の擬古文物語「苔の下」の女主人公「よしや君」という遊女に由来する。物語では恋人の某の按司(豪族)と添えず,黒雲殿という金持ちに身受けされたが,ついに不食の病(断食)で死んでいる。これをもとに,口承性の強い琉歌を引きつけながら物語がひとり歩きしたもので,沖縄本島北部の農村の出身で,8歳のときに那覇の遊郭に売られたとか,恋人の某按司も仲里按司となって芝居に仕組まれ,しだいにイメージが鮮明になり,明治期の写本によると,尚質3(1650)年に生まれ,同21年に死んだことになっている。
(池宮正治)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報