らくだ
落語。明治中期に3代柳家小さんが上方の《らくだの葬礼》を東京へ移入したもの。〈らくだの馬〉と異名をとる乱暴者がフグにあたって死んだ。仲間のやくざ者半次が,通りかかったくず屋の久六をおどして,通夜に酒と煮しめを届けるように大家に掛けあわせ,断られると嫌がらせに大家のところへ行き,死骸にカンカンノウ(看々踊)を踊らせる。おどろいた大家が届けた酒を,半次と久六が飲みはじめるが,酔いがまわるにつれて,はじめおとなしかったくず屋の久六が,逆に半次をしかりつけておどかす。ふたりで空樽(あきだる)に死骸を入れてかつぎ出すが,途中で底がぬけて死骸を落とす。火屋(ひや)(焼き場)に着いてから気がついて引き返し,酔って道に寝ていた願人(がんにん)坊主をまちがえてかついで来る。目覚めた坊主がどこだと聞くと,〈ここは火屋だ〉〈なに,ひやだ。ひやでもいいからもう一ぱいくれ〉。変化に富む長編で,芝居や映画にも脚色された。
執筆者:興津 要
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
らくだ
落語。上方(かみがた)落語の「らくだの葬礼」を明治中期に3代目柳家小さんが東京へ移したもの。らくだの馬とあだ名されている乱暴者のところへ兄弟分が訪ねてくると、らくだは前夜に食べたフグにあたって死んでいた。そこへ通りかかった屑屋(くずや)を脅して手伝わせ、通夜に入用だからと大家(おおや)に酒と煮しめを持ってくるようにかけ合わせる。大家に断られると、屑屋に死骸(しがい)を背負わせて「カンカンノウ」を踊らせる。驚いた大家が届けた酒を2人で飲むが、屑屋は酔うほどに強くなり、兄弟分を逆に脅す。酔っぱらった2人はらくだを四斗樽(だる)に詰めて火屋(ひや)(焼き場)へ担いで行くが、途中で樽の底が抜けたのを知らずに火屋まで行き、あわてて拾いに戻る。酔って道に寝ていた願人(がんにん)坊主をかわりに詰めて火屋へくる。願人坊主が目を覚まして「ここはどこだ」「火屋だ」「ひや(冷酒)でもいいからもう一杯」。江戸時代の風俗を活写し、変化に富む。東京の現行演出は3代目小さん型だが、大阪型もおもしろい。
[関山和夫]
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らくだ〔生活用品〕
ポピー製紙が販売するちり紙の商品名。古紙を使用。ソフトタイプ、1200枚入り。
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世界大百科事典(旧版)内のらくだの言及
【柳屋小さん】より
…浅薄な滑稽噺に人情噺の人物描写の技法を導入し,落語を高度な芸術にした近代の名人で,第1次〈落語研究会〉の中心をなした。《らくだ》《碁泥(ごどろ)》《にらみ返し》などの上方落語を東京に移植して,近代東京落語の発展に貢献した。得意は《らくだ》《うどんや》など。…
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