アキアミ(読み)あきあみ

改訂新版 世界大百科事典 「アキアミ」の意味・わかりやすい解説

アキアミ (秋醬蝦)
Acetes japonicus

アミの名はあるが,アミの仲間ではなく甲殻綱サクラエビ科に属するエビ。体長3cmに達する。淡い桃色で,死ぬと白色になる。サクラエビに似ているが,頭胸甲に肝上棘(かんじようきよく)があること,額角の基部に1本のとげがあること,第1胸脚がはさみをもつこと,体に発光器がないことで区別される。産卵期は5月上旬から10月上旬で,例えば体長2.5~3cmの雌で約7000粒を放卵する。9~10月に孵化(ふか)したものは越年し,翌年の5~7月に産卵する。産卵後は死ぬので,寿命は9~10ヵ月である。越年世代から産み出されたものが第1夏世代で,急速に成長して7~8月に産卵する。この世代期間は2.5~3ヵ月にすぎない。第1夏世代によって産卵されたものが第2夏世代で,9月中旬から10月上旬にかけて産卵して死ぬ。寿命はやはり2.5~3ヵ月と短い。夏に海面近くを群泳しているものを漁獲し,乾燥してサクラエビの代用とするほか塩漬にして食用とする。主要産地は岡山県を中心とする瀬戸内海九州東岸,有明海富山湾で,そのほか韓国西岸一帯にも多産する。東南アジアを経てインドまで分布する。
サクラエビ
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アキアミ」の意味・わかりやすい解説

アキアミ
あきあみ
[学] Acetes japonicus

節足動物門甲殻綱十脚(じっきゃく)目サクラエビ科に属する食用エビ。体長4センチメートル内外。淡紅色で、死ぬと白色になる。瀬戸内海から九州、朝鮮半島、東南アジアを経てインドまで分布する。サクラエビに似ているが、第1胸脚にはさみをもつことや発光器がないことなどによって区別される。秋に孵化(ふか)したものが越年世代(第2夏世代の仔(こ))で、翌年5~7月に産卵して死ぬ。この卵が孵化したものが第1夏世代で、急速に成長して7~8月には産卵して死ぬ。これが孵化して第2夏世代となり、9~10月に産卵して死ぬ。

 サクラエビの代用とするほか、塩漬けにして食用とする。

武田正倫]

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百科事典マイペディア 「アキアミ」の意味・わかりやすい解説

アキアミ

サクラエビ科に属する小型のエビ。アミの類ではない。体形はサクラエビに似て,第2触角は非常に長く中途で折れ曲がり細かい毛を密に対生する。体長3cmくらい。富山湾,瀬戸内海,有明海,韓国西岸,東南アジア〜インドの浅海に産する。煮干し素干し,塩漬などにして食用にする。

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栄養・生化学辞典 「アキアミ」の解説

アキアミ

 [Acetes japonicus]アミの一種で,アミ科の甲殻類,食用にされる.

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