アギス4世(読み)アギスよんせい(英語表記)Agis IV

改訂新版 世界大百科事典 「アギス4世」の意味・わかりやすい解説

アギス[4世]
Agis Ⅳ
生没年:?-前241

スパルタ王。在位,前244-前241年。ヘレニズム期の改革者。当時スパルタは借財問題が深刻化し,土地を所有する完全市民はわずか700人ほどで,大部分の土地は100人ほどの手に帰しており,市民数の減少に苦しんでいた。リュクルゴス体制を復活して,スパルタの覇権を再興することを考えた彼は,諸種の改革に着手する。すなわち借財の帳消しと土地再分配によって,市民権喪失者を市民身分に復し,自由人にふさわしい教育を受けて軍役能力のあるペリオイコイ外人に市民権を与え,4500の市民団を創出する計画がそれである。前242年に反対派の指導者であるもう1人の王レオニダス2世を廃し,借財の帳消しを実施した。しかし,叔父アゲシラオスの反対などにあって土地再分配を実施できず,これが改革失敗の原因となった。前241年レオニダスが傭兵隊と帰国し,アギスは神殿に逃れたが,捕らえられ処刑された。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アギス4世」の意味・わかりやすい解説

アギス4世
アギスよんせい
Agis IV

[生]前263頃
[没]前241
古代ギリシア,スパルタの王 (在位前 244~241) 。土地や富の集中を改めリュクルゴス制度に帰すべく借財切捨てや 700人に減少していた市民にペリオイコイや外人を加えた 4500人の市民への土地再分配などの社会改革を企てた。富裕者側に立つ王レオニダス2世を廃位し,借財切捨て実施後,アカイア同盟の求めで出征したが,その間叔父アゲシラオスの裏切りでレオニダスが勢力を回復したため,帰国後処刑されて,改革は挫折した。

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世界大百科事典(旧版)内のアギス4世の言及

【スパルタ】より

…前240年代からは社会改革が行われ,貴重な史料を残している。アギス4世はスパルタ再建を試みたが失敗した。しかし,改革を失敗させたレオニダスの息子でアギス未亡人と結婚したクレオメネス3世が改革を成就した。…

※「アギス4世」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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