アクイナス,T.(読み)あくいなす

世界大百科事典(旧版)内のアクイナス,T.の言及

【サクラメント】より

…しかし,中世の秘跡神学では,人生の重要な契機にあたって個々の秘跡を通して与えられる恩恵の仲介に主力が注がれた。トマス・アクイナスはアウグスティヌスの〈しるしsignum〉をアリストテレスの質料形相論によって〈質料materia〉と〈形相forma〉に分け,前者には洗礼の水や聖餐のパンとブドウ酒を,後者には制定のことばを当てた。またアウグスティヌスの〈事自体res〉に関しては,各秘跡のもたらす恩恵の効果effectus gratiaeとして詳細に論じている。…

【トマス・アクイナス】より

…イタリアの神学者,哲学者,聖人。スコラ学の黄金時代を築いた思想家の一人。
[生涯と著作]
 皇帝フリードリヒ2世に仕える騎士アクイノのランドルフォとロンバルディア出身のテオドラの間の末子(3人の兄,5人の姉がある)として,父親の居城ロッカセッカで生まれる。領地がローマとナポリのほぼ中間,教皇領と皇帝領の境界線に位置していたため,一族はたえず紛争にまきこまれ,トマスは武具の響き,軍馬のいななきにかこまれて幼年時代を送った。…

【普遍論争】より

…その後シャルトル学派やサン・ビクトール学派では,比較や抽象という知性の作用によって普遍概念が形成されることがみとめられた。 13世紀のトマス・アクイナスはアラビアの哲学者イブン・シーナー(アビセンナ)の説をとり入れ,普遍は神的には〈ものの前にante rem〉,自然的には〈もののうちにin re〉,知性の抽象によって〈ものの後にpost rem〉あると考えた。したがって普遍は知性の所産であるとともに実在に対応するものとされる。…

※「アクイナス,T.」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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