アクスルハウジングのFCD化

日本の自動車技術240選 の解説

アクスルハウジングのFCD化

アクスルハウジングを鋳鋼から生産性に優れるFCDに材料置換できれば、大幅な製造環境改善と生産性向上をおこなうことができる。今回これを達成する為の新技術として、元来チルや割れの問題で、溶接できなかったFCDの端部に、鋳造と同時に鋼材拡散接合する新技術を確立、アクスルチューブとの溶接を可能とし、世界で初めて鋳造同時拡散接合技術を強度部材に適用することに成功した。 これにより大型トラックのアクスルハウジングのFCD化を実現。製造環境の大幅な改善と生産性向上を達成した。保管場所日野自動車株式会社
製作(製造)年2004
製作者(社)日野自動車株式会社
資料の種類量産部品
現状使用中・公開
型式大型トラック 日野プロフィア「FR1EXYJ」他
会社名日野自動車株式会社
通称名
搭載車名大型トラック 日野プロフィア「FR1EXYJ」他
製作年2004
設計者日野自動車株式会社
協力者北海道大学 アイシン高岡株式会社他
構造・方式・手段・方法等右図参照
エピソード・話題性アクスルハウジングのハーフサイズ型を用いS35Cのリングを用いBNi-3粉末をバインダーと混練リング表面に塗布したり、リング周囲から熱供給を良くする様にリング体積を△50%削減、リング周囲も湯道となる「だかせ」と称する方案の変更等試行錯誤、最終的には「だかせ方案」と新規考案した「はかせ方案」で接合面に連続的な熱供給が可能となった。
特徴FCD材への溶接性機能付与を狙いにFCDと鋼材の鋳造同時拡散説合技術を確立した。この拡散接合において均一な接合を得る為のキーテクノロジーは、鋼材側へのNi薄膜被覆と接合面の湯流れを最適に制御した新鋳造方案である。これによりFCDから鋼材への連続した傾斜組織が得られ、FCD材の異種材接合において、伸びが10%を超える画期的な接合界面を得ることができた。また、疲労強度は従来の鋳鋼と同等で、さらに拡散接合界面を際弱とせず、かつ信頼性の高い複合部材が得られたことから、今回FCDの鋳造同時拡散説合技術を強度部材として初めて適用することが可能となった。
参考文献黒木他 大型トラック用アクスルハウジングのFCD化 日野技報NO.55(2004年)他

出典 社団法人自動車技術会日本の自動車技術240選について 情報

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