アチェ王国(読み)アチェおうこく(英語表記)Aceh

翻訳|Aceh

山川 世界史小辞典 改訂新版 「アチェ王国」の解説

アチェ王国(アチェおうこく)
Aceh

15世紀末~1903

スマトラ島北端のバンダ・アチェを中心に形成された港市国家ポルトガルマラッカ占領後,ムスリム商人を引きつけ胡椒(こしょう)輸出で繁栄し,17世紀前半に全盛期を迎えた。インド洋入口に位置するアチェは,中東との交流が活発で,東南アジアイスラームのセンターの一つとなった。王国は18世紀後半より再び胡椒輸出で繁栄したが,アチェ戦争の末,オランダに占領されスルタンが廃絶された。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アチェ王国」の意味・わかりやすい解説

アチェ王国
アチェおうこく
Aceh

スマトラ北西端に 16世紀初期から 20世紀初頭にかけて存在したイスラム国家。ポルトガル人のマラッカ占領後,これに敵対する近隣諸国の盟主となり,17世紀前半のイスカンダル・ムダ王の時代が最盛期であった。その後衰退して 19世紀には数州に分裂していたが,同世紀末に起ったアチェ戦争結果,オランダの支配下に入った。インドネシア共和国独立後もときおり中央政府に抵抗する姿勢を示している。

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世界大百科事典(旧版)内のアチェ王国の言及

【アチェ[州]】より

…古来,東西交通の要衝にあたり,同国で最も早くイスラムが定着した所で,マルコ・ポーロの《東方見聞録》などの資料により,東岸の小港市国サムドゥラ・パサイやペルラクで13世紀末に王や住民のイスラムへの改宗が確認される。16世紀以降,バンダ・アチェに拠るアチェ王国がコショウ貿易の隆盛を基に勢力を拡大,この地方を支配下に置いた。同王国はイスカンダル・ムダ治政下(1607‐36)に最も栄え,版図をスマトラ南西岸にまで拡大したが,17世紀末から内紛が続き衰退した。…

【アチェ戦争】より

…インドネシア,スマトラ島北端のアチェ族によるオランダの侵略に対する抵抗戦争(1873‐1912)。19世紀後半のオランダのスマトラ東海岸進出以降,その脅威にさらされたアチェ王国は,トルコ,アメリカ,イタリアと秘密に外交的接触をもった。これら列強の介入を恐れたオランダは,1873年3月にアチェ王国に宣戦布告,侵略を開始した。…

※「アチェ王国」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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