アフリカマナティ(英語表記)Trichechus senegalensis; West African manatee

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アフリカマナティ」の意味・わかりやすい解説

アフリカマナティ
Trichechus senegalensis; West African manatee

カイギュウ目マナティ科マナティ属。体長は3~4m。体重約 750kgに達する。出生体長は約 1m。皮膚の色は灰色がかった茶色である。体型は丸く太いがアメリカマナティよりも細い。軟らかく長い鰭 (ひれ) 状の前肢と丸いパドル状の尾鰭を有する。頭部は小さく,頸部は不明瞭で,体表には多くの皺 (しわ) があり,背部にはまばらに体毛が生える。鼻が厚く突き出ており,鼻孔は2つで小さく丸い。鼻の下に肉厚の唇があり,上唇にがんじょうな剛毛が生える。前肢の先端には爪がある。5~7対の頬歯が両顎の奥部にあり,まれに奥歯が生え変る。出生時は両顎に痕跡門歯があるが,成長に伴い欠落する。緩慢で動きが鈍い。単独で行動することが多いが,採食中に 15頭以上の群れをなすこともある。繁殖期は周年であるが,雨季が最も盛んで,出産場所には浅い沼地を好む。1産1仔。草食性でヒシなどの水生植物や水辺植物のほかマングローブの葉などを採食する。モーリタニア南部からアンゴラ北部までの沿岸河川および河口域に生息し,チャド湖とその近辺の河川にも出現する。肉,革,骨,脂を目的に捕獲される。絶滅危惧種。

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