アブドラ政権(読み)あぶどらせいけん

知恵蔵 「アブドラ政権」の解説

アブドラ政権

マレーシアのアブドラ・バダウィ首相は前任者のマハティールとは対照的で温厚な調整型。長くカリスマ的な支配を敷いてきたマハティールと比べ、リーダーシップに欠けるとの批判も一部にあった。しかし、就任直後に着手した「脱マハティール」戦略に成功し、マハティール批判で支持を集めてきたPAS(全マレーシア・イスラム党)などの野党の勢いを止め、2004年3月の総選挙で圧勝。与党連合の得票率としては、マハティール政権下での5回の総選挙を上回り、1963年以来でも最高の成績を収めた。総選挙後の組閣ではアブドラ首相は財務相と国内治安相を兼務し、強力な権限を得た。マハティール時代、権力乱用罪で服役したアンワル(元副首相兼財務相)が08年4月以降に被選挙権を回復することが政権の不安定要因になる可能性がある。

(片山裕 神戸大学教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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