アヘン貿易(読み)あへんぼうえき

百科事典マイペディア 「アヘン貿易」の意味・わかりやすい解説

アヘン貿易【あへんぼうえき】

18世紀後半から,イギリス東インド会社インドアヘンを中国向けに輸出した貿易。実際は,中国からの茶の輸入資金として,英国がインド(ベンガル地方と中央インドの藩王国など)につくらせたアヘンを中国に売り,インド人の受け取る代金で英国のつくった工業製品の消費を可能にさせる,という三角貿易であった。また,植民地インドにおける英国の歳入の17%(19世紀平均)はアヘン専売収入が占め,中国への輸出は清朝禁令のため,中国人商人を介した密貿易で行われた。→アヘン戦争

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世界大百科事典(旧版)内のアヘン貿易の言及

【アヘン(阿片)】より

…なお鴉片の鴉は,黒褐色(ボール状になったアヘンの色は黒砂糖に似ている)の色からとられたものであろう。
[東インド会社とアヘン貿易]
 薬用に限定されていたアヘンが,大規模に商品として生産・販売されるようになり,麻薬と化すようになったのは,18世紀後半,イギリス東インド会社が植民地インドでケシ栽培,アヘン生産の専売制を開始し,これを中国向けに輸出しはじめてからのことである。こうしてアヘンは,中国からイギリスへの茶,イギリスからインドへの機械製綿製品という輸出商品とともに,19世紀アジア三角貿易の不可欠の商品となった。…

※「アヘン貿易」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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