アマモ(甘藻)(読み)アマモ(英語表記)Zostera marina; eelgrass; wrackgrass

百科事典マイペディア 「アマモ(甘藻)」の意味・わかりやすい解説

アマモ(甘藻)【アマモ】

アマモ科の海産の多年草根茎は水深1〜5mの内湾海底の砂中をはい,葉はリボン状で長さ1mに達する。花序葉鞘に包まれ目立たない。世界の温〜寒帯の海岸に広く分布し,貝や稚魚が育つ藻場を形成する。根茎や若芽には甘味があり,食べられるのでこの名があり,全草に海水を注いで塩を取ったので,モシオグサ藻塩草),アジモの名がある。また長い葉に由来するリュウグウノオトヒメノモトユイノキリハズシ竜宮乙姫の元結の切りはずし)という最も長い植物名をもつことでも知られる。
→関連項目塩釜ハオコゼ

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アマモ(甘藻)」の意味・わかりやすい解説

アマモ(甘藻)
アマモ
Zostera marina; eelgrass; wrackgrass

ヒルムシロ科の多年草。北海道から九州,中国,ヨーロッパ,北アメリカに広く分布し,浅海の泥土上に群生する海産種子植物で海藻ではない。横にはう細長い根茎の節から茎を出し,数枚の葉をつける。葉はリボン状で細長く,長さ 50~100cm,幅 1cm前後,濃緑色で基部は鞘になる。初夏に,細長い緑色の包葉に包まれた花序が葉鞘の内側に生じる。雌花雄花が交互に2列に並ぶ。花には花被がなく,雄花は1個の葯 (やく) をもつおしべから成り,花粉は糸状。雌花は1本のめしべだけで,熟すると長さ 5mmぐらいの長楕円形の痩果となる。根茎に甘みがあって食べられるのでアマモ,またはアジモの名がある。また葉の形にちなんで「竜宮の乙姫の元結の切外し」という植物名として最も長い名がある。

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