アルダビール(英語表記)Ardabīl

デジタル大辞泉 「アルダビール」の意味・読み・例文・類語

アルダビール(Ardabīl)

イラン北西部の都市。アルダビール州の州都カスピ海、およびアゼルバイジャンとの国境に近く、サバラーン山東麓の高原地帯に位置する。イスラム神秘主義のサファビー教団の祖を祭るシェイフサフィーオッディーン廟がある。近郊サルエインをはじめとする温泉地が広く知られる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルダビール」の意味・わかりやすい解説

アルダビール
Ardabīl

イラン北西部,東アゼルバイジャン州の地方中心都市。カスピ海から 61kmの地点にあり,アゼルバイジャンとの国境に近い。サバラーン山(4811m)東麓,標高 1400mの高原に位置し,寒さは晩春まで続く。かつてカスピ海経由でロシアとの貿易が行なわれていた。セメント絨毯などの工業がある。13世紀サフィー・ウッディーンがサファビー・スーフィー教団を創設し,その子孫イスマーイール1世サファビー朝を創設した場所として知られる。北西部にあるサフィー・ウッディーンの廟墓は 2010年,周辺の建造物群とともに世界遺産の文化遺産に登録された。1827年に侵攻したロシア軍によって,当時ペルシア最大であった図書館の蔵書を持ち去られた歴史がある。住民はトルコ語を話す。人口 41万8262(2006)。

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改訂新版 世界大百科事典 「アルダビール」の意味・わかりやすい解説

アルダビール
Ardabīl

イラン北西部,東アゼルバイジャン州の都市。山に囲まれた標高1100mの小平原にある。人口39万0682(2003)。市周辺の緑の多いオアシスでは,リンゴナシ栽培が有名。市の名称はペルシア語で〈聖なる町〉の意。町の起源は,ササン朝時代にさかのぼるともいわれるが,はっきりするのはイスラム時代以降で,この地方の中心都市であった。13世紀初めに,モンゴル軍の侵略破壊をうけたのち,サフィー・アッディーン(1252-1334)が同市で神秘主義教団を設立し,その子孫イスマーイール1世が,サファビー朝を創設した。同市の北西部には,14世紀に設立された開祖サフィー・アッディーンの廟がある。
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