アルノ川(読み)アルノがわ(英語表記)Fiume Arno

改訂新版 世界大百科事典 「アルノ川」の意味・わかりやすい解説

アルノ[川]
Arno

イタリア中部,トスカナ州を流れる川。アペニノ山脈のファルテローナ山に源を発し,リグリア海に注ぐ。全長245km。フィレンツェ地中海を結ぶ水路として,古くから重視され,河口近くにあるピサとフィレンツェとの間で,水路の覇権をめぐる争いが繰り返された。ダンテやルネサンス期の画家たちが歌い,描いた川でもある。1966年には氾濫のため,フィレンツェ市の歴史的建築物や国立図書館書物などが被害に遭った。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルノ川」の意味・わかりやすい解説

アルノ川
アルノがわ
Fiume Arno

イタリア中部,トスカナ州を流れる川。全長 240km,流域面積 8247km2。フィレンツェの東北東,ファルテロナ山に発し,上流はカセンティノと呼ばれる旧湖盆を横切って流れる。アレッツォの近くで北西に向きを変え,第2の旧湖盆を通り,インチサの峡谷を抜けたのち,第3のフィレンツェの旧湖盆に入る。その後は下流部で,エンポリ,ピサを通ってリグリア海に注ぐ。アルノ川の流域は大幅に改修され,旧上流域のバルディキアナの水は現在テベレ川に注いでいる。中流はレオナルド・ダ・ビンチ以来洪水調節が試みられている。プラトマニョ以西の流域は肥沃で,景勝地にも富み,先史時代の動物の化石が多数発見されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルノ川」の意味・わかりやすい解説

アルノ川
あるのがわ
Arno

イタリア中部、トスカナ州の川。全長248キロメートル、流域面積8250平方キロメートル。アペニン山脈中のファルテローナ山に源を有し、フィレンツェ、ピサを経て、リグリア海に注ぐ。水量は夏の間は少ないが、2~3月と11月には増水期を迎える。1966年11月の大洪水では、フィレンツェの市街が浸水し、大きな被害を受けた。河口からポンテデラまでは航行が可能である。

[堺 憲一]

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世界大百科事典(旧版)内のアルノ川の言及

【ピサ】より

…人口9万6763(1994)。ティレニア海に流れ込むアルノ川の河口から約10kmの両岸に発達し,中世からの伝統のある商業都市。現在はガラス,金属,機械製造も盛ん。…

※「アルノ川」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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