アルハンブラの翼壺(読み)アルハンブラのよくこ(英語表記)Ailhambra-Wingvase

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルハンブラの翼壺」の意味・わかりやすい解説

アルハンブラの翼壺
アルハンブラのよくこ
Ailhambra-Wingvase

スペインの古代陶器の代表的な壺。翼のように大きな耳が両側 (現在は片耳) についていた。高さ 1.2mの尖底の大壺で,全面に動物対向文やクーファ体のアラビア装飾文字が描き込まれ,地紋はアラベスクで埋められている。青緑釉とラスター釉が使い分けられ,イスパノ・モレスク先駆をなす 14世紀の作品。セビリアまたはマラガで作られたと考えられる。アルハンブラ宮殿にあったのでこの呼称があり,現在マドリードのスペイン古代博物館蔵。

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世界大百科事典(旧版)内のアルハンブラの翼壺の言及

【イスパノ・モレスク陶器】より

…したがって初期のイスパノ・モレスク陶器の装飾や器形にはオリエントのレイ,カーシャーン,ニーシャープール,ラッカなどで製作された陶器と著しい類似が見られる。アラビア文字のクーフィー体を文様化した装飾のある,ラスター彩の〈アルハンブラの翼壺〉は,13~14世紀ごろの代表的作例である。15世紀に入ると,スペインにおける錫釉陶器の生産の中心は,半島東部バレンシア地方のマニセスやパテルナ,北部のカタルニャ地方に移行した。…

※「アルハンブラの翼壺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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