アンプリダイン(読み)あんぷりだいん(英語表記)amplidyne

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アンプリダイン」の意味・わかりやすい解説

アンプリダイン
あんぷりだいん
amplidyne

特殊構造の直流発電機増幅発電機といわれるものの一種で、界磁電圧に小さな電力の変化を与えても、大きな電力の変化として取り出すことができるもの。中のAを電機子、Fを界磁巻線とすると、Aの整流子面に置かれた電気ブラシa、bとFとの組合せまでは普通の直流発電機と同じであるが、アンプリダインはa、bを短絡し、これに流れる短絡電流がブラシc、d間に起電力を生ずるための励磁電流となり、普通の直流発電機を2段に直列に結んだ形になる。Fの励磁電流に微小変化を与えると出力端子の電圧が大幅に変えられる。このことを増幅度が高いという。アンプリダインは大容量の同期発電機の励磁回路に入れられ、発電機電圧の自動制御に用いられたこともある。しかし、エレクトロニクスの普及により増幅回路が容易に実現できるようになり、アンプリダインは使われなくなった。

[磯部直吉・森本雅之]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アンプリダイン」の意味・わかりやすい解説

アンプリダイン
amplidyne

増幅発電機という直流発電機の一種で,交差界磁型増幅発電機の代表的なもの。直流発電機も界磁電流と電機子電流の関係より,一種の増幅器と考えられるが,直流発電機に工夫を加え,電機子反作用を利用して一段と増幅性能を高めたものが,アンプリダインである。真空管,トランジスタ増幅器に比べ,取り扱う電力が大きいことでおもに自動制御機構に用いられた。その他の増幅発電機としてロートトロール,ラピダインがある。

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