アンボアーズの陰謀(読み)あんぼあーずのいんぼう(英語表記)Tumulte d'Amboise

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アンボアーズの陰謀」の意味・わかりやすい解説

アンボアーズの陰謀
あんぼあーずのいんぼう
Tumulte d'Amboise

1560年3月、熱烈なカトリック支持者であったギーズ一門の手からフランスの若き国王フランソア2世を奪回するために新教徒ユグノー)が企てた陰謀事件。陰謀の首領新教に帰依した貴族ラ・ルノーディであったが、背後にはルイ・ド・コンデ親王がいたとも伝えられる。当時宮廷があったアンボアーズの王城に新教徒が向かっていたとき、パリ高等法院弁護士ピエール・デザベネルの裏切りによって陰謀が発覚、ラ・ルノーディは殺され共謀者たちも処刑された。事件は、なかば個人的、なかば政治的な企てのように思われ、明らかに改革派とみられる聖職者は、事件の責任者のなかには見当たらない。

[志垣嘉夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アンボアーズの陰謀」の意味・わかりやすい解説

アンボアーズの陰謀
アンボアーズのいんぼう
Tumulte d'Amboise

1560年フランスにおいて新教派が熱烈な旧教派で,政治の実権を握っていたギーズ (公家)一門を打破するため,コンデ親王,ラ・ルノーディの指導もとに,アンボアーズ城にいた幼王フランソア2世をギーズ一派から奪回しようとした事件。陰謀は失敗し,新教派の大量処刑に終った。

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世界大百科事典(旧版)内のアンボアーズの陰謀の言及

【アンボアーズ】より

…中世にはアンジュー伯,次いでベリー伯の所領であったが,1434年シャルル7世により王領に編入。歴代の諸王が滞在したゴシック様式の城館(15世紀末)は,1560年フランソア2世を新教徒側にひき入れようとして失敗に帰した〈アンボアーズの陰謀〉の舞台として名高い。城内の聖ユベール礼拝堂には,近くのクロ・リュセの館で亡くなったレオナルド・ダ・ビンチの墓がある。…

【ユグノー戦争】より

…こうして,〈宗教のユグノー〉は〈政治のユグノー〉へと大きく変容し,内乱勃発の条件は整った。
[経過]
 先鋭化する対立のなかで,60年,君側の奸を除こうとするプロテスタントの国王奪還計画〈アンボアーズの陰謀〉は,事前に発覚して失敗に終わるが,62年,ギーズ公配下の一隊が礼拝に集まっていたプロテスタントを殺害した〈バッシーの虐殺〉をきっかけに,以後8次にわたる両派の激突が始まる。カトリックの中心はギーズ公フランソアとその弟の枢機卿シャルル・ド・ロレーヌ,王国筆頭元帥のモンモランシー家の当主アンヌ。…

※「アンボアーズの陰謀」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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