アンボン島(読み)アンボントウ(英語表記)Ambon Pulau

デジタル大辞泉 「アンボン島」の意味・読み・例文・類語

アンボン‐とう〔‐タウ〕【アンボン島】

Pulau Ambon》インドネシア東部、モルッカ諸島の島。バンダ海北端に位置する。主な町は南岸アンボン。16世紀初頭にポルトガル人がヨーロッパ人として初めて発見し、香料貿易が始まった。丁子ちょうじニクズクを産する。しばしばヨーロッパ諸国の間で領有が争われ、17世紀初頭にはオランダ人が英国商館を襲撃し、館員を殺害したアンボイナ事件が起こった。アンボイナ島

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「アンボン島」の意味・わかりやすい解説

アンボン[島]
Pulau Ambon

インドネシア東部,モルッカ諸島に属する島。アンボイナ島ともいう。面積816km2,人口約7万。火山性で最高点はサルフートゥー山(1340m)。住民はマレー系とパプア系の混血したアンボン族で,肌色は黒く,毛髪は縮れている。小島ではあるが古くからチョウジ,ニクズクなどの香料産地として知られ,そのうえ戦略的要点にも当たる。このため1512年ポルトガル人が到着してから,ポルトガル,オランダ,イギリスなどの間で激しい争奪戦が行われた。17世紀初めにはイギリスの傭兵となった日本人もまきこんだ名高いアンボン事件も起きている。オランダ権力の確立後,アンボン族はキリスト教徒となり,勇敢な性質,付近の住民より高い文化をもつことで,オランダ植民地軍の忠実な兵士として貢献した。島の西岸にある主都アンボンは天然の良港で,今もインドネシア海軍の基地,また近海漁業の中心であり,22万4160人(2003)が集中する。なおオランダ在住のアンボン族は近年インドネシアからの分離独立を企てている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アンボン島」の意味・わかりやすい解説

アンボン島
あんぼんとう
Ambon Pulau

インドネシア、モルッカ諸島の一島。バンダ海の北端に位置し、北はセラム島に近接する。アンボイナ島Amboina Pulauともいう。面積816平方キロメートル、人口約6.7万。北東から南西方向に細長い島で、島を二分するかのようにアンボン湾が入り込んでいる。アンボン湾はかつては狭小な海峡であったが、東部に沿岸流によって砂州が形成されたためヒトゥ島とレイティモル島がつながり、現在のアンボン島がつくられた。全島山がちな地形をなし、サラフートゥー山(1027メートル)をはじめいくつかの火山がそびえる。島の周囲はサンゴ礁が発達している。1512年ポルトガル人によって「発見」された。チョウジ、ニクズクなどの香料栽培が古くから行われており、香料をめぐってポルトガル、オランダ、イギリスなどの国々の間にこの島の争奪戦があり、西欧との接触が多かった。17世紀初期に起こったアンボイナ事件はその争いの一つとして著名である。主要な住民はアンボン人。主都はアンボン湾の奥に位置するアンボン。

[上野福男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android