アーノンクール(読み)あーのんくーる(英語表記)Nikolaus Harnoncourt

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アーノンクール」の意味・わかりやすい解説

アーノンクール
あーのんくーる
Nikolaus Harnoncourt
(1929―2016)

オーストリア指揮者、チェロ奏者。ベルリンに生まれ、パウル・グリュンマーPaul Grummer(1879―1965)にチェロの指導を受け、さらにウィーン音楽アカデミーで学ぶ。1952年から1969年までウィーン交響楽団のチェロ奏者を務めるかたわら、古い時代の音楽や古楽器の収集と研究に取り組み、1953年古楽器によるウィーン・コンツェントゥス・ムジクスConcentus Musicus Wienを結成した。その指揮者として1957年から公開演奏を開始し、ルネサンス、バロック時代の音楽を斬新(ざんしん)な解釈によって演奏し、楽界の注目を浴びた。1970年からはレオンハルト共同で200曲にも及ぶバッハ教会カンタータの全曲録音を始め、1989年に完成した。一方、1970年代以降はオペラ、コンサート両分野で活躍、古典派以後の音楽の指揮でも高い評価を受けていた。1972~1993年ザルツブルク・モーツァルテウム音楽院教授。著書に『古楽とは何か』(1982)、『音楽は対話である』(1984)などがある。

[今谷和徳]

『那須田務・本多優之訳『音楽は対話である――モンテヴェルディ・バッハ・モーツァルトを巡る考察』(1992・アカデミア・ミュージック)』『樋口隆一・許光俊訳『古楽とは何か――言語としての音楽』(1997・音楽之友社)』『角倉一朗著『バッハへの新しい視点』(1988・音楽之友社)』『砂川しげひさ著『のぼりつめたら大バッハ』(1993・東京書籍)』『オペラハンドブック編集部編『オペラハンドブック』新版(2002・新書館)』『モーニカ・メルトル著、小谷民菜訳『ニコラウス・アーノンクール――未踏の領域への探求者』(2002・音楽之友社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アーノンクール」の意味・わかりやすい解説

アーノンクール
Harnoncourt, Nikolaus

[生]1929.12.6. ドイツ,ベルリン
[没]2016.3.5. オーストリア,ザンクトゲオルゲンイムアッターガウ
オーストリアのチェロ奏者,指揮者。フルネーム Johann Nikolaus Graf de la Fontaine und d' Harnoncourt-Unverzagt。神聖ローマ皇帝末裔にあたる貴族に生まれ,母親が父祖の代から所有するグラーツのメラン宮殿で幼少期を過ごした。第2次世界大戦後,ウィーン音楽院でチェロとビオラ・ダ・ガンバを学び,アリス・ホフェルナーとともに 1949年に古楽を演奏するウィーン・ビオラ・ダ・ガンバ四重奏団を結成した。1953年にホフェルナーと結婚。1952~69年ヘルベルト・フォンカラヤンが指揮するウィーン交響楽団でチェロ奏者を務めた。1953年古楽器アンサンブルのウィーン・コンツェントゥス・ムジクスを結成し,古楽に意欲的に取り組み,客演指揮者として多くのオーケストラと共演し録音を残した。1971~89年には,オランダハープシコード奏者グスタフ・レオンハルトと共同でヨハン・ゼバスチアン・バッハの教会カンタータ全 193曲を指揮・録音した。2005年京都賞受賞。2015年12月に引退を発表した。

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アーノンクール

アルノンクール

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