イオン(株)(読み)いおん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イオン(株)」の意味・わかりやすい解説

イオン(株)
いおん

イオングループを統轄する純粋持株会社。1758年(宝暦8)に三重県四日市(よっかいち)で開業した太物・小間物商篠原屋(1887年岡田屋と改称)が源流。1926年(大正15)に株式会社岡田屋呉服店となり、第二次世界大戦後の1959年(昭和34)に岡田屋に社名変更した。1969年に、いずれもチェーン展開していた岡田屋、フタギ、シロの3社が共同仕入機構としてジャスコを設立、また東北地方の有力チェーン6社の提携で、東北ジャスコグループを結成した。1970年には岡田屋がフタギ、オカダヤチェーン、カワムラ、共同仕入機構ジャスコを合併し、ジャスコに社名変更した。「ジャスコ」の名はJapan United Stores Companyを略したJUSCOからきている。その後も1970年代には地方のローカル・チェーンとの提携・合併を繰り返して、大規模なナショナル・チェーンを構築し、いわゆる「連邦経営」を展開していった。1980年代にはコンビニエンス・ストアのミニストップ、外食産業のレッドロブスター、自動車販売のオートラマライフなど、新業種や新業態に活発に進出した。アメリカの婦人服専門店チェーンのタルボット社の買収など海外進出も図り、グループ名も新たにイオングループとし、2001年(平成13)8月には社名・グループ名もともにイオンと変更した(ジャスコの名はしばらく店名として継続していたが、順次イオンに変更された)。2003年に、会社更生法の適用を受けていた大手スーパーのマイカルとその関係会社を傘下に加える。さらに2005年フランスの大手小売企業カルフールの日本法人、カルフール・ジャパンを完全子会社化し、社名をイオンマルシェに変更した。2007年10月、イオン銀行の営業を開始。流通業からの銀行業参入はセブン銀行に次いで2番目となる。2008年8月純粋持株会社へ移行し、小売事業等はイオンリテールに承継した。2013年8月には大手小売企業ダイエーTOB(株式公開買付)により連結子会社化、2015年1月に株式交換により完全子会社化した。資本金2200億0700万円(2015)、売上高7兆0785億円(2015年2月。連結ベース)。

[中村青志]

『ジャスコ株式会社編・刊『ジャスコ三十年史』(2000)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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