イカリソウ(碇草)(読み)イカリソウ(英語表記)Epimedium violaceum

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イカリソウ(碇草)」の意味・わかりやすい解説

イカリソウ(碇草)
イカリソウ
Epimedium violaceum

メギ科の多年草で,本州の太平洋側の山地に分布する。大きな株となり,高さ 20~40cmの茎を多数叢生するが,冬は地上部が枯れる。葉は2~3回3出する複葉で各小葉は長さ3~7cmの三角状卵形で,先はとがり,基部は心臓形で縁にはまばらに鋭い鋸歯がある。春,ほとんど葉が開かないうちに数花を総状花序につける。個々の花は比較的大きく,2列8枚の萼片と4枚の花弁があり,内側の萼片は花弁状。花弁には長い距があって外側へ張出している。和名はこの花の形を船のいかりに見立てたものである。花色は通常紅紫色であるが,地域によっては白花をつけるものもある。この属 (イカリソウ属 Epimedium) の植物はユーラシア大陸の温帯に約 20種があり,日本では本州日本海側に分布する常緑トキワイカリソウ E. sempervirens,西日本に産して距の短い白花をつけるバイカイカリソウ E. diphyllum,本州中部から北海道南部のやや高地に生じるキバナイカリソウ E. cremeumなど約 10種が知られている。

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