イシモチソウ(読み)いしもちそう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イシモチソウ」の意味・わかりやすい解説

イシモチソウ
いしもちそう / 石持草
[学] Drosera peltata Thunb. var. nipponica (Masam.) Ohwi

モウセンゴケ科(APG分類:モウセンゴケ科)の多年草。地中に球形塊茎があり、茎は直立し、高さ10~30センチメートル、上部は多少分枝し、無毛。根出葉があるが、花期後には枯れる。茎葉は互生し三日月形、長さ2~3ミリメートル、幅4~6ミリメートル、縁(へり)と表面に長い腺毛(せんもう)があり、これで小虫をとらえて消化する。5~6月ごろ茎上部に2~10個の白花をつける。萼片(がくへん)5枚は卵形で縁に腺毛があり、花弁は5枚、倒卵形で長さ6~8ミリメートル、雄しべ5本、雌しべ1本、花柱は3本でそれぞれ4深裂する。原野の酸性湿地に生え、関東地方以西の本州、四国、九州、西表(いりおもて)島から中国まで分布し、基本種はマレーシア、インド、オーストラリアに広く分布する。

[小林純子 2020年12月11日]


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百科事典マイペディア 「イシモチソウ」の意味・わかりやすい解説

イシモチソウ

モウセンゴケ科の多年生食虫植物。関東〜沖縄,東アジアの湿地にはえる。茎は高さ10〜30cm,根に球形の塊茎がある。柄の長い三日月形の葉を互生し,葉面に密生する腺毛の分泌液で捕虫し,消化する。夏,径1.5cmほどの白い5弁花が総状に数個つく。近縁ナガバノイシモチソウは北海道,本州,中部に分布し,葉は線形で長さ4〜6cm,先がとがる。

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世界大百科事典(旧版)内のイシモチソウの言及

【モウセンゴケ(毛氈苔)】より

… モウセンゴケ属Drosera(英名sundew)は世界で約90種が知られ,そのうちの約60種はオーストラリアに集中的に分布している。日本にはほかに,ナガバノモウセンゴケD.anglica Huds.(イラスト),モウセンゴケとナガバノモウセンゴケの種間雑種サジバモウセンゴケD.obovata Mert.et Koch,コモウセンゴケD.spathulata Labill.(イラスト),イシモチソウD.peltata Smith,(イラスト)ナガバノイシモチソウD.indica L.がある。イシモチソウは日本を北限とし,南はオーストラリア,タスマニア島までの東南アジアを中心に広く分布する多年草で,地下部に直径約5mmの球状塊茎をもち,茎が立ち上がり,また葉身(捕虫葉)は楯状に葉柄についた三日月形という形態的特徴をもつ。…

※「イシモチソウ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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