イチジク(無花果)(読み)イチジク

百科事典マイペディア 「イチジク(無花果)」の意味・わかりやすい解説

イチジク(無花果)【イチジク】

西アジア原産の,クワ科の落葉小高木。前2000年ごろから地中海沿岸地方で栽培され,日本には江戸時代に入り,その後も多数の品種が輸入された。枝や葉などに乳管があり,傷つけると白い乳液を出す。葉の形や大きさは品種によりさまざまだが,ふつう卵円形で長さ20〜30cm,3〜7片に裂け,かたい毛があってざらつく。花は花托内壁に着生し外から見えない。果実(花托の肥厚したもの)は卵球形で,その年の9月に,あるいは幼果のまま越冬して翌年7月に成熟する。前者を秋果,後者を夏果という。ともに甘く,生食または煮て食べるほか,ジャム,缶詰とする。繁殖はおもにさし木による。イチジク属の植物はそれぞれ種類の異なるイチジクコバチが寄生し,花粉を媒介している。ただし日本に入っているイチジクは,ほとんどが受粉しなくても熟すタイプである。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

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