イトバショウ(読み)いとばしょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イトバショウ」の意味・わかりやすい解説

イトバショウ
いとばしょう / 糸芭蕉
[学] Musa balbisiana var. liukiuensis (Matsum.) Häkkinen
Musa liukiuensis (Matsum.) Makino

バショウ科(APG分類:バショウ科)の大形多年草。一名リュウキュウバショウ。栽培が大部分で、野生があるか、また沖縄固有種かどうか不明。長く幅広い葉鞘(ようしょう)が互いに巻き合った偽茎は円柱状、高さ2~3メートル、径約15センチメートル。偽茎基部は塊茎で、短く大きい。子いもを側生し栄養繁殖する。葉は線状長楕円(ちょうだえん)形、長さ0.7~1.5メートル、裏面は粉白。穂状花序を頂生してバナナ状の実を結び、中に黒色種子を多数生じる。偽茎を切り、葉鞘を1枚ずつ離して折り畳み、灰汁(あく)で煮たのち、柔組織を除いて繊維をとり、夏の衣料、沖縄特産の芭蕉布を織る。葉をあぶり、握り飯を包むと香ばしい。

[島袋敬一 2019年6月18日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android