イヌセンブリ(読み)いぬせんぶり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イヌセンブリ」の意味・わかりやすい解説

イヌセンブリ
いぬせんぶり / 犬千振
[学] Swertia tosaensis Makino
Swertia diluta Benth. et Hook.f. var. tosaensis (Makino) Hara

リンドウ科(APG分類:リンドウ科)の一年草または越年草。茎は高さ10~35センチメートル、葉は倒披針(とうひしん)形。9~11月茎頂や葉腋(ようえき)に白色紫色の筋がある花を上向きに開く。花冠は深く5裂する。名はセンブリに似るが苦味がなく薬にならないのでいう。本州四国、九州の海岸から山地帯湿地に生え、朝鮮、中国に分布する。

[高橋秀男 2021年5月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のイヌセンブリの言及

【センブリ(千振)】より

… センブリに似て花冠が青紫色のムラサキセンブリO.pseudochinensis (Hara) Toyokuniは,やはり苦味健胃薬として使用され,本州~九州,朝鮮半島,中国北部,アムール地方に分布する。イヌセンブリO.diluta (Turcz.) Ledeb.var.tosaensis (Makino) Toyokuniもセンブリに似ているが,薬効がやや劣るため,イヌの名をかぶせ,イヌセンブリという。属は違うが近縁植物として,北半球の高山や寒地に広く分布し,日本では南アルプスと八ヶ岳の高山帯にのみ産するヒメセンブリLomatogonium carinthiacum (Wulfen) Reichb.f.,日本では北海道に産するチシマセンブリFrasera tetrapetala (Pall.) Toyokuni,本州北・中部の高山帯に産する本種の小型亜種タカネセンブリssp.micrantha (Takeda) Toyokuniがあり,北海道および本州の高山にはミヤマアケボノソウSwertia perennis L.ssp.cuspidata (Maxim.) Haraが生育する。…

※「イヌセンブリ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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