イブラヒムパシャ(英語表記)İbrahim Paşa

改訂新版 世界大百科事典 「イブラヒムパシャ」の意味・わかりやすい解説

イブラヒム・パシャ
İbrahim Paşa
生没年:1493-1536

オスマン帝国の大宰相サドラザム)。ギリシア系の出身で,幼時海賊にさらわれ,やがてデウシルメを受けてオスマン宮廷入りをしたといわれる。当時のスルタン,スレイマン1世に仕えて絶大な信任を受け,1523年大宰相に就任。このとき年齢30歳,異例の昇進であった。24年スルタンの姉妹と結婚。26年のモハーチの戦をはじめ,ウィーン包囲(1529),対サファビー朝イランとの戦争(1532-34)など,たびたびの遠征で活躍,その保有する封土も拡大した。36年にはフランスとの間にカピチュレーションの交渉を行ったが,にわかに君寵を失って失脚,同年3月トプカプ宮殿のハレム一室で殺害された。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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