イラク史(読み)イラクし

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イラク史」の意味・わかりやすい解説

イラク史
イラクし

前 7000年頃,チグリス・ユーフラテス川流域メソポタミアの丘陵地帯に世界最古の文明が発祥し,前 3000年代にはシュメール人,アッカド人が灌漑農業の社会を形成。前 2000年代末になるとセム族バビロニア王国が成立し,前 625年にはカルデア人の新バビロニア王国がつくられたが,前 558年にはアケメネス朝の支配下に入り,次いでマケドニア王国,シリアのセレウコス朝の支配が続き,前1世紀にはローマの属領に編入された。3世紀から7世紀にいたるササン朝の支配を経て,637年以降はアラブ・ムスリムの統治下におかれ,アッバース朝時代に黄金期を迎えたが,1258年にはモンゴル軍に征服され,1638年にはオスマン朝の支配に屈した。第1次世界大戦後イギリスの委任統治領となったが,1921年にイラク王国が成立して,1932年に委任統治は終了。 1958年カセムの革命により,王制は廃止されて共和国となり,数度のクーデターを経てバース党が政権を掌握,1979年にはサダム・フセインが大統領に就任した。 1980年からのイラン=イラク戦争経済は疲弊し,さらにクウェート侵攻をきっかけに起こった 1991年の湾岸戦争でイラクは国際的に孤立を深めた。 2003年にはイラク戦争で,アメリカなどから激しい攻撃を受け,フセイン政権は実質的に崩壊した。

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