イレシネ(英語表記)bloodleaf
Iresine

改訂新版 世界大百科事典 「イレシネ」の意味・わかりやすい解説

イレシネ
bloodleaf
Iresine

ヒユ科マルバヒユ属の草本で,約80種が熱帯~亜熱帯地域に広く分布しているが,園芸的に利用されるのは,2種だけである。マルバビユI.herbstii Hook.f.(英名beefsteak plant,chicken-gizzard)はブラジル原産の常緑多年草で,広卵形の葉を対生する。葉先は浅く切れ込み,紫赤色~暗緑色で,葉脈は黄色で目だつ。葉が黄緑色の変種キフマルバビユcv.Aureo-reticulataがある。枝変りが生じやすく,挿木でいろいろな系統を選抜することができる。明治末年に渡来した。普通は草丈30~40cmに育てるが,伸ばせば150cm以上になる。他の1種イレシネ・リンデニイI.lindenii Van Houtteはエクアドル原産の多年草で,葉は広披針形で,先は細くとがる。暗赤銅色で,葉柄,茎ともに赤紫色をおびる。大正初年に渡来した。両種とも挿木でふやし,夏は花壇,あるいはプランターやバスケット植えにして窓辺を飾る。強健で,5℃以上で越冬する。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イレシネ」の意味・わかりやすい解説

イレシネ
いれしね
[学] Iresine

ヒユ科(APG分類:ヒユ科)の多年草。葉は対生し、長さ3~5センチメートル。葉が広卵形のI. herbstii Hook.f.はマルバビユとよばれ、ブラジル原産で、明治中期に渡来した。葉が披針(ひしん)形のI. lindenii Lem.はエクアドル原産で、大正初期に渡来したものが知られている。マルバビユは変種が多く、葉が紫紅色のI. h. var. acuminata hort.や濃柴紅色のI. h. var. brilliantissima hort.、黄緑色のI. h. var. aureoreticulata hort.(黄斑(きふ)マルバビユ)が知られる。夏、秋に花壇用とされる。熱帯性なので冬は温室で越す。春、5センチメートルくらいの挿し穂で繁殖し、鉢仕立てにして露地に定植する。

[猪股正夫 2021年1月21日]

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