イーカーア(英語表記)īqā`[アラビア]

改訂新版 世界大百科事典 「イーカーア」の意味・わかりやすい解説

イーカーア
īqā`[アラビア]

アラブ音楽リズム,またはリズム型のこと。アラブ音楽では,リズムは,いくつかの拍の組合せからなる,ある一定の長さをもつリズム型の周期的な繰返しによって形づくられる。リズムの基本となる拍には,太鼓の打ち方によって,強拍ドゥムdumと弱拍タクtakとをはじめとする数種類があり,それらの拍の中のいくつかと休止の組合せによって一つのリズム型がつくられる。リズム型には長・短さまざまあり,その数は100以上に及ぶ。それぞれのリズム型は〈何々の拍子〉という名前をもっており,実際の演奏では旋律はこのリズム型の繰返しの上にあてはめて展開される。このリズム型はウスールuṣūlと呼ばれる。このリズム型を意味するのにワズンwazun,ダルブḍarbの語が用いられることもある。リズムを打つ楽器には,タブラナッカーラなどがある。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「イーカーア」の意味・わかりやすい解説

イーカーア

アラブの拍節法。リズム型ないしリズム周期。古典詩の韻律法の概念を音楽に応用したため,名称は韻律の名と同じものが多いが,リズム周期としての実態は必ずしも両者一致しない。9世紀には8種類であったが,16世紀にはペルシアトルコ起源のリズム型をも加えて20を超えた。その後,オスマン帝国拡張でトルコのさまざまなリズム周期が導入され,その種類は100以上にもなった。イーカーアの多くは,リズム型のみならず,テンポ楽式まで規定する。
→関連項目ウスール

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

靡き

1 なびくこと。なびくぐあい。2 指物さしものの一。さおの先端を細く作って風にしなうようにしたもの。...

靡きの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android