ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(読み)うぃーんふぃるはーもにーかんげんがくだん(英語表記)Wiener Philharmoniker ドイツ語

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
うぃーんふぃるはーもにーかんげんがくだん
Wiener Philharmoniker ドイツ語
Vienna Philharmonic Orchestra 英語

オーストリアオーケストラウィーン・フィルと略称される。1842年、宮廷楽長オットー・ニコライ指揮によって始められたウィーンの宮廷歌劇場管弦楽団の演奏会を起源とする。楽員はウィーン宮廷歌劇場(後のウィーン国立歌劇場)と同じだが、フィルハーモニーとしての運営は自主的で、演奏会等についての決定は楽団内で行われる。マーラーら優れた指揮者が指揮してきたが、1903年に指揮者の常任制を廃止し、一時期を除きすべて客演指揮者によって演奏を行うようになった。現在はムジークフェライン・ザール(楽友協会ホール)で年に10回程度の定期演奏会、ヨハンシュトラウスワルツ主体にしたニューイヤー・コンサート等の特別演奏会、夏のザルツブルク音楽祭への出演、世界各地への演奏旅行等を行っている。ウィーンの音楽的伝統を体現したかのような洗練された響きと高い演奏能力を有し、古典から現代まで幅広い分野の作品に優れた演奏を行っている。56年(昭和31)ヒンデミット指揮により初来日、以後繰り返し日本を訪れている。

[美山良夫]

『アンドレア・ゼーボーム著、岩下真好訳『ウイーン・オペラ――栄光と伝統の350年』(1990・リブロポート)』『オットー・シュトラッサー著、芹沢ユリア訳『栄光のウィーン・フィル――前楽団長が綴る半世紀の歴史』(1991・音楽之友社)』『クレメンス・ヘルスベク著、芹沢ユリア訳『王たちの民主制――ウィーン・フィルハーモニー創立150年史』(1994・文化書房博文社)』『岩下真好・佐々木直哉編『200CD ウィーン・フィルの響き』(2000・立風書房)』

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百科事典マイペディア の解説

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団【ウィーンフィルハーモニーかんげんがくだん】

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団と並んで権威をもつ管弦楽団。ハプスブルク家の宮廷歌劇場の管弦楽団を母胎に,1842年発足。ニコライが初代常任指揮者で,1860年楽団員による自主運営体制が確立された。以後,指揮者も楽団員によって選ばれ,H.リヒターマーラーワインガルトナー,B.ワルターなどが指揮した。楽団員はウィーン国立歌劇場の管弦楽団を兼任し,コンサート活動でウィーン・フィルを名乗る。ホルンをはじめ,国立歌劇場常備の古いタイプの楽器が多数用いられ,音質・奏法ともに統一されたウィーン色の濃い演奏で知られる。1956年,ヒンデミットと共に初来日。→K.ベーム
→関連項目アバド岩城宏之カラヤンバックハウスバーンスタインフルトウェングラー松平頼則

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ウィーン・フィルハーモニーかんげんがくだん
Wiener Philharmoniker

世界最高の名声と伝統を誇るオーケストラの一つ。ウィーン国立歌劇場管弦楽団のメンバーから構成される演奏会用オーケストラ。 1842年その前身である宮廷歌劇場付きフィルハーモニッシェ・アカデミーが生れ,60年独立して現在の名称となる。初代指揮者ニコライをはじめ,H.リヒター,A.トスカニーニ,W.フルトベングラー,K.ベーム,H.カラヤンら,常にその時代の第一人者を指揮者に迎えている。弦の流麗甘美な響きは比類がなく,1956年以来たびたび来日している。

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デジタル大辞泉プラス の解説

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

オーストリアのウィーンを拠点とするオーケストラ。19世紀半ばの宮廷歌劇場管弦楽団に起源する。ウィーン国立歌劇場管弦楽団の団員で構成される自主運営組織。主な指揮者はブルーノ・ワルター、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、カール・ベームなど。同国を代表するオーケストラの一つであり、世界的に知られる。

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