家庭医学館 「ウェルシュ菌食中毒」の解説
うぇるしゅきんしょくちゅうどく【ウェルシュ菌食中毒】
ウェルシュ菌は、胞子(ほうし)をもつ嫌気性(けんきせい)の(酸素の少ないところを好む)桿菌(かんきん)で、そのA型変形菌は、100℃で30分の加熱に耐えられますから、加熱調理は、競争相手の熱に弱い細菌がいなくなるだけでなく嫌気性状態(酸素の少ない状態)になり、ウェルシュ菌の発育・増殖(ぞうしょく)に好都合になります。
このため、前日、ウェルシュ菌に汚染された肉や魚肉を加熱調理し、翌日まで室温で放置したものを食べた際におこります。
[症状]
摂食から発病までの潜伏期間は8~24時間で、初めはおなかがはり、おならが出て、ついで激しい腹痛と下痢(げり)がおこります。
発熱はなく、嘔吐(おうと)もまれなのが特徴です。多くは軽症で、1~2日で回復します。
まれですが、ウェルシュC型菌による食中毒もあります。
潜伏期間は2~5時間で、下痢、腹痛とともに小腸の出血性壊死(しゅっけつせいえし)による粘血便(ねんけつべん)が出て、重症で死亡することもあります。
治療は、腸炎ビブリオ食中毒(「腸炎ビブリオ食中毒」)と同じです。
[予防]
肉、魚肉のほか、めん類や甘酒の食べ残しでこの食中毒がおこったこともあります。加熱調理したものでも、室温に放置せず、必ず冷蔵庫に保存しましょう。