ウォツカ(読み)うぉつか(英語表記)водка/vodka ロシア語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウォツカ」の意味・わかりやすい解説

ウォツカ
うぉつか
водка/vodka ロシア語

ロシアの代表的な蒸留酒。ウォツカはロシア語のウォダвода/voda(水)からきた名称で、「かわいい水」という意である。ウォツカはロシアで14世紀のころからつくられ、帝政末期のロシア皇帝もこれを愛飲したといわれる。以前はロシア以外にポーランド、バルト海沿岸諸国でのみ生産されていたが、第二次世界大戦後は世界各国に広がり、とくにアメリカでは目覚ましく、最近ではロシアをしのいで世界一のウォツカ産出国になった。

[秋山裕一]

製造法

ウォツカの原料は、ジャガイモオオムギトウモロコシコムギが使われる。これらを蒸煮(じょうしゃ)し、オオムギの麦芽で糖化後、発酵させ、高性能の連続式蒸留機で精留する。この中性アルコールを加水し、白樺(しらかば)炭の層を通す。白樺炭は数本から多いものは20本ほどの銅またはステンレス製の円筒に詰められており、この中をゆっくりと流すことにより、粗さや不純物からくるにおいや味がとれて、ウォツカ特有のまろやかな甘味のある酒になる。ウォツカの貯蔵は木樽(きだる)は使用せず、ステンレスや、ほうろうタンクが用いられる。

[秋山裕一]

飲み方

ウォツカは、アルコール分が40~60%、無色。冷やしてストレートで飲むほかに、カクテルの主要なベースとして使われる。ロシア料理の食前酒はウォツカのストレートを供する。アルコール分が高いので、ミネラルウォーターやトマトジュースで割って飲む。日本ではスミノフSmirnoff、サモーバーSamovar、ギルビーGilbeyなどが有名である。ロシアやポーランドにはフレーバーを加えたウォツカがあり、ズブロフカZubrovkaは芳草ズブロフカ草を浸漬(しんし)したもので、芳香がある。ほかに砂糖香辛料、ワインなどを入れたものや、ナシリンゴの葉を浸漬したスタルカStarkaなどがある。

[秋山裕一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウォツカ」の意味・わかりやすい解説

ウォツカ
vodka

おもにロシアで造られる蒸留酒一種ライ麦,小麦,大麦,じゃがいもなどを原料として発酵させ,蒸留したもので,無味,無臭,無色であるために調合酒に適している。市販のもののアルコール濃度は 40~60%。

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