ウォルフラム・フォン・エシェンバハ(英語表記)Wolfram von Eschenbach

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

ウォルフラム・フォン・エシェンバハ
Wolfram von Eschenbach

[生]1170頃.エシェンバハ
[没]1220頃.エシェンバハ
中世ドイツの叙事詩人。ホーエンシュタウフェン朝の三大宮廷叙事詩人の一人。広い文学的な教養を身につけていたことが知られているが,生涯については他の詩人たちと同様ほとんど不明。作品には,5編の『きぬぎぬの歌』 Tageliedを含む初期の恋歌8編もあるが,彼の名を高めているのは,フランスの詩人クレチアン・ド・トロアの『ペルスバル,または聖杯物語』などにならい,アーサー王伝説聖杯伝説とをうまく結び合せた長大な叙事詩『パルツィファル』 Parzival (1200~10頃) で,ドイツ文学における教養小説源泉とされている。そのほかフランスの武勲詩『アリスカン』を素材としてサラセン人と戦うキリスト教徒の騎士の姿を描いた叙事詩『ウィレハルム』 Willehalm (12~18) や,一般に『ティトゥレル』 Titurelと呼ばれている断片の恋物語がある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android