ウナギ(鰻)(読み)ウナギ

百科事典マイペディア 「ウナギ(鰻)」の意味・わかりやすい解説

ウナギ(鰻)【ウナギ】

ウナギ科の魚の総称,またはそのうちの1種を指す。ウナギのなかまは世界中に18種いるが,日本にいるのはニホンウナギオオウナギの2種。ウナギは,円筒状で全長はふつう40〜50cm。小鱗は皮膚に埋まる。体色は環境によって異なるが,ふつう暗褐色で腹面は銀白色。日本〜中国に分布するが,本州中部以南の太平洋岸,朝鮮半島西部などに多い。ヨーロッパ産とアメリカ産のウナギの産卵場はデンマークの生物学者ヨハネス・シュミット〔1877-1933〕の研究によってバミューダ諸島南東のサルガッソー海,水深300〜500mのところであることが判明。日本産の場合は太平洋の沖合といわれ,はっきりしないとされてきた。しかし,塚本勝巳教授の東大大気海洋研究所と水産総合センターの研究チームが,天然のニホンウナギの卵をマリアナ諸島沖の深さ200mまでの浅い場所で発見,2011年2月英科学誌《ネイチャー》(電子版)に発表した。幼生はレプトセファラスで,変態して親と同形のシラスウナギになり,11〜4月に群をなして川を上る。ふつう8年ほど淡水生活をして成熟し,産卵のため海に下る。蒲焼(かばやき)として賞味され,重要な養殖魚(養鰻(ようまん))である。オオウナギは全長1mを超すものが多い。南日本〜太平洋熱帯部,アフリカ東部に分布し,日本では静岡県伊東市浄の池,和歌山県西牟婁郡富田川などのものは,天然記念物。ニホンウナギは絶滅危惧IB類(環境省第4次レッドリスト)。
→関連項目サルガッソー海ホソヌタウナギ

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

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