ウバンギ川(読み)ウバンギがわ(英語表記)Oubangui

改訂新版 世界大百科事典 「ウバンギ川」の意味・わかりやすい解説

ウバンギ[川]
Oubangui(Ubangi)River

アフリカ中部,コンゴ川支流。長さ1160km。流域面積77万5000km2コンゴ民主共和国(旧,ザイール)北東部に源を発して西流し(上流はボーム川とウェレ川の二大支流に分かれる),中央アフリカ共和国の首都バンギ付近から南流して,赤道のやや南でコンゴ川に合流する。ボーム川とウバンギ川中流は中央アフリカとコンゴ民主共和国の国境をなし,ウバンギ川下流はコンゴ共和国とコンゴ民主共和国の国境をなす。鉄道のない中央アフリカにとって,多くの支流を含めてウバンギ川は幹線交通路の役割を担っている。またバンギまでは年中航行可能であるため,多くの輸出入品はウバンギ川~コンゴ川の水運に頼っている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウバンギ川」の意味・わかりやすい解説

ウバンギ川
ウバンギがわ
Oubangui

アフリカ大陸中部の川。コンゴ川右岸最大の支流。上流部はムボム川と呼ばれ,中央アフリカ共和国のバンガスー南西約 80kmの地点で,コンゴ民主共和国北東部からのウェレ川 (1300km) と合流,ウバンギ川となる。中央アフリカ共和国とコンゴ民主共和国の国境を形成してほぼ西流,中央アフリカ共和国のバンギから南に向きを変え,のちコンゴ共和国とコンゴ民主共和国の国境を形成,コンゴ民主共和国のテュムバ湖西方でコンゴ川に注ぐ。全長はウェレ川を含め約 2250km。下流域に広大な湿地帯を形成。バンギまで航行可能。鉄道のない中央アフリカ共和国の交通の大動脈をなし,同国の輸出入の大半はこの河川運輸に依存。2~4月の乾季には水量激減,輸送量が制限される。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウバンギ川」の意味・わかりやすい解説

ウバンギ川
うばんぎがわ
Oubangui

アフリカ中部を流れるコンゴ川(ザイール川)の最大の支流。中央アフリカ共和国とコンゴ民主共和国(旧ザイール)の国境沿いに西流し、中央アフリカの首都バンギの近くで南流し、コンゴ民主共和国とコンゴ共和国との国境線をなして、コンゴ盆地中央部のツンバ湖の西でコンゴ川と合流する。全長1130キロメートル。10~11月の高水位期には、この合流地点からバンギまでの700キロメートルの間、また2~4月の低水位期には、バンギの下流90キロメートルのリベンゲまで航行可能となる。上流域では熱帯林が繁茂し、中・下流域は広大な沼湿地である。

[堀 信行

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のウバンギ川の言及

【コンゴ[川]】より

…ここからコンゴ川と呼ばれるようになり,西,南西と弧を描き,スタンリー・プールと呼ぶ滞水部に入る。この間,左岸にロマミ川,ルキ川,カサイ川,右岸にイトゥリ川,ウバンギ川,サンガ川などの大支流が注ぐ。スタンリー・プール岸にはキンシャサとブラザビルの両首都が対置するが,ここからキサンガニまでの約1700kmの間の標高差はわずかに40m強で,川幅も広く,古くから重要な交通路として利用されてきた。…

※「ウバンギ川」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android