ウムイ

百科事典マイペディア 「ウムイ」の意味・わかりやすい解説

ウムイ

沖縄諸島宮古八重山諸島は含まない)の古い宗教儀式歌。祝女(のろ)(女性の司祭)や神人(かみんちゅ)(巫女)たちが,豊作を祈る御祭(うまちー)や豊漁・航海安全を祈る海神祭(うんじゃみ)などの祭祀の際に,(ちぢん)を打ちながらあるいは手拍子で歌う。歌謡源流をしのばせるものとして貴重だが,秘儀的で容易に公開されないことや,共同体の祭祀がすたれつつあるために,一般に知られないまま急速に失われつつある。奄美群島ではオモリという。

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世界大百科事典(旧版)内のウムイの言及

【沖縄[県]】より

…ただそれらのすべてに共通することは,人と神との間をむすぶ呪詞としての機能をもっていることである。(2)叙事文学 奄美のナガレ歌,八月踊歌,ユングトゥ,沖縄のクェーナ,ウムイ,オモロ,宮古の長アーグ,クイチャーアーグ,八重山のアヨー,ジラバ,ユンタ,ユングトゥなどがある。叙事文学もまた,歴史的変遷の中で呼称に応じた区別をしにくくなったものが多い。…

【おもろさうし】より

…沖縄最古の歌謡集。オモロまたはウムイは,沖縄・奄美諸島に伝わる古い歌謡のこと。ほぼ12世紀ころから17世紀初頭にわたってうたわれた島々村々のウムイを首里王府で採録したのが《おもろさうし》22巻である。…

【神歌】より

神楽神楽歌【中村 茂子】(4)沖縄の神歌 巫女集団を中心とした古風な祭祀を伝える沖縄にも,祭りの場でのさまざまの神歌が保存されている。沖縄諸島では,神の託宣を意味するミセセル,神を崇(たか)べて降雨などの願いごとを述べるオタカベ,もとは託宣から出て現在は神に豊作などの祈願を捧げる形になったティルクグチ,同じく神に自分たちの願意を長々と訴えるクェーナやウムイなどがある。また宮古諸島では,神々の降臨・誕生から村落の創成などを述べたてて神を賛嘆するフサ,神々を崇べる意味のタービ,同じく神々を賛美するピャーシ,さらにそれらの神歌の要素を取りながら祖先神の偉業などを壮大に叙述するニーリなどがある。…

※「ウムイ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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