エイジアン・アメリカン(読み)えいじあんあめりかん(英語表記)Asian‐American

知恵蔵 「エイジアン・アメリカン」の解説

エイジアン・アメリカン

中国系、韓国系、ベトナム系、フィリピン系などのアジアアメリカ人のこと。アメラジアンという呼称もある。1965年の移民法改正で割当制度が廃止されたのをきっかけに激増、いまや最も人口増加の著しいマイノリティーで、資本を持って入国してくる者が少なくなく、教育程度も高い。英語力の関係で自営業が多いものの、持ち前の勤勉さで着々と地歩を固め、近年では収入、地位など、ほとんどの社会・経済的指標において米国全体の平均値を上回る。平均所得では、ついに「ヒスパニックを除く白人」を上回るに至り(商務省報告書)、ほかのエスニック・グループとの深刻な対立を招くようになった。2世の世代にアイデンティティー危機が深刻となっているのも、このエスニック集団の特殊性といえる。まだその人口増加ぶりにふさわしい政治的発言力を手にしているとはいい難く、92年のロス暴動の際に、ベトナム系と共に増加の著しい韓国系アメリカ人(コリアン・アメリカン)が標的になったことは、エイジアン・アメリカン全体に、大きな衝撃を与えた。

(井上健 東京大学大学院総合文化研究科教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エイジアン・アメリカン」の意味・わかりやすい解説

エイジアン・アメリカン
エイジアンアメリカン
Asian American

アジアから移民してきたアメリカ人。ただし,経済的に成功している中国系,韓国系,日系などと,東南アジア系とでは性質を異にする。前者,ことに韓国系は,アメリカに移民してきて日が浅く,英語も不得手であるのに,計算の速さと器用さから驚異的な速さで経済的成功をなしとげた。そのため,他のマイノリティーズから脅威に感じられており,1992年4月のロサンゼルス暴動の際も暴徒の標的にされた。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android