エジプト国立博物館(読み)エジプトこくりつはくぶつかん(英語表記)Egyptian (National) Museum, Cairo

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エジプト国立博物館」の意味・わかりやすい解説

エジプト国立博物館
エジプトこくりつはくぶつかん
Egyptian (National) Museum, Cairo

エジプト美術のコレクションでは世界で最も重要なカイロの美術博物館。古代エジプトの美術品の国外流出を防ぐために,1858年フランス人 A.マリエット尽力によりブーラークに設立された。彼はナポレオン推薦によってエジプト考古局長となり,多くの遺跡から発掘した出土器をここに収集,63年博物館として正式に開館した。 91年ギザに移され,1902年にはフランスの建築家 M.ドゥルニヨン設計によりカイロに新設された現在の博物館に移された。先史時代からグレコ・ローマン時代初期までの約 10万点の収蔵品は,ほぼ年代順に陳列されており,現世的な権力と宗教的気高さをもつ王や高官たちの姿が,多くの彫像浮彫絵画などに表わされている。代表的なものに,第1王朝『ナルメル王のパレット』,第3王朝『ジョセル王』 (石像) ,第4王朝では高官『ラ・ホテップ王子とその妻ネフェルト』 (彩色石像) やギザ第2ピラミッドの主『カフラー王』 (石像) ,第5王朝神官『ラノフェル』 (像2体) ,第 11王朝『メントゥホテプ王』 (坐像) ,第 12王朝『アメンエムヘト3世スフィンクス』 (石像) ,第 18王朝『アモン神の前に立つトゥトモス3世』 (壁画) や『イクナートン王』 (石像) など。トゥトアンクアメン (ツタンカーメン) 王遺品などもその例である。他方人々の生活のさまや労働の姿は,第5王朝『書記の坐像』や『壺を洗う男』『ネンケフトカ墓の浮彫』,第 11王朝『家畜検査の模型』やパピルス絵画などにみることができる。

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